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★ただ声が聞きたいだけ。
恋したくなるお題さまからお借りしましたお題で零優姫です。



(零が綺麗で見惚れてたなんて・・
言えないよ・・・)




桜テーマです。
しっとりしてますかしら。















春先の薄手のコートをクローゼットから出し
腕を通そうと零はバサリ。とそれを翻した。
何処からか、ひらりと何かが床に落ちる。


(・・・桜?)


床に落ちたそれは桜の花びらで。
零はそれを手に取ると、手の中の花びらに目線を落とす。

頭の片隅に過ぎったそれは微かに響くかつての幼馴染みの声で。
零は花びらを手にしたまま、暫く動く事が出来なかった。








ただ声が聞きたいだけ。







薄桃色の花びらが風に吹かれて舞い踊り、
零は頭上に咲き乱れる桜の木を見上げた。
見事に咲き誇るピンクに、眩しそうに目を細める。

その咲き乱れた先に
白く舞う花びらと。
白い衣類を纏い、白い髪を靡かせて自分の世界を奪った人物の影が横切り。
見上げた零の顔を歪めさせた。



『零!お花見しよ!』


明るい声が後ろから掛かり、零の腕に纏わり付いてきた優姫は。
頬をピンクに染め、零が見上げた先の桜の木を見遣る。


『綺麗だね~!!』


優姫は手を伸ばし、空を舞う花びらを掬う。
ふわふわとやわらかな笑顔が零の横でこぼれ落ち、零は桜よりもそちらに目を奪われた。


『ほら零!桜の花びら!』


優姫は手に1枚の花びらを乗せて零へと向ける。


『零とのお花見の記念に取っておこーっと』


優姫はニコニコと笑顔を零に向け、手の中の花びらを両手で被った。

そんな頬をピンクに染めた優姫の頭に花びらが一片舞い降りる。
白く浮かんだそれは薄紅に染まり、零の視界は白から優しい色へと変化する。

再度桜を見上げて見ても。
白い影は浮かぶ事なく、重なる様に温かいピンクに塗り替わる。


『・・お前は、凄いな』

『え?』


見上げたままの零の顔を優姫は横から見上げると。
零はゆっくりと優姫の方へ顔を向ける。
柔らかく微かに笑みを浮かべ、零は優姫の頭に付いた花びらを取ると優姫に渡す。


『ほら。』


零は優姫の手の中にある1枚に重ねる様に、その1枚を乗せた。


『俺の分。・・・記念、なんだろ?』


優姫は弾ける様に零を見ると
「うん!ありがとう」と嬉しそうに笑顔を零した。


『零!あっちにも行ってみよう?』


優姫は零から離れ、先にある桜を指差して歩き出した。
瞬間、風が二人を横切り
さぁあああと花びらが舞い上がった。

『きゃっ』

優姫は思わず目を伏せて髪を被う。
風下に顔を向けて目を開くとその先には同じ様に髪を押さえて立ち尽くす零が見えた。
ピンクの花びらが舞う中で、銀の髪が綺麗に踊り。
瞳を伏せた零の表情は優しげで。
その姿に優姫は目を奪われた。


その視線に気付いた零は立ち止まったままの優姫を訝しげに見遣り、歩を進めると優姫の頭をくしゃりと乱した。


『どうした。腹でも減ったのか?』

『ち、違うもん!』

『花より団子属性だろ?』

『そっ、それはそうなんだけど・・・』


優姫は零の顔を見上げながら言葉を飲み込んだ。

綺麗な桜よりも 何よりも。


(零が綺麗で見惚れてたなんて・・
言えないよ・・・)


でも。綺麗だけど何だか儚げで。
ずっと側にいたいのに何だか儚げで。
桜のせいか、何なのか。

優姫はそっと零の腕の裾に手を掛けた。


『零』

『ん?』

『また二人でお花見しようね?』


覗き込む様に零に向ける瞳は真っ直ぐそれを捉え。
二人で花見をした記念になる様に。


『来年も。再来年も、絶対ね。』


これから先の<記念>の約束を。

優姫は更に、きゅ。と裾を掴む手に力を込める。
そんな優姫に、零は視線を少し反らすと
桜の木を仰いだ。


(そんな約束など、出来る資格が俺にある筈ないのに。)


『・・・ぁあ・・・そうだな・・・』


優姫の瞳に、言葉に吸い込まれてしまうから。
望んでしまっても良いのかと思ってしまうから。


優姫は安心した様に笑みを返し、零の腕にしがみつく。


『じゃあ零!あそこのお団子食べよ?』

『・・はぁ?!やっぱり腹減ってんじゃねぇか』

『だって、安心したらお腹空いちゃったんだもん。
零と一緒に食べるお団子って美味しいと思う!』

『なんだそれ』


零は呆れた声を出し、優姫は零を引っ張って目当ての店に向かう。
重なり合う2枚の花びらと一緒に。
二人寄り添い歩き出した。
















手の中に乗せた花びらを見ながら、零はある日の記憶を蘇らせた。
そんなに前の事ではないのに、随分と前の事の様な。
長い長い時間を忘れていた様な。


引っ張られる様に連れて行かれた店で団子を買い、桜の木の下で。
口に花びらを付けたまま嬉しそうに団子を頬張る優姫を思い浮かべる。

その姿に、眉を寄せて花びらを取ってやると
優姫は少し顔を赤らめてはにかんでいた。


" お前、食べる事に夢中になりすぎ "


" きっと桜も美味しいお団子が食べたかったんだよ "


浮かぶのは柔らかな優姫の顔と温かい空気。

冷えた零の空間に、久方の温もりが辺りを
包み込んだ。


(約束なんか・・・守れる筈ないのに)


零は花びらを甲に乗せると
そのピンクに優姫を重ね
ゆっくりとキスを贈る。


二人、重ねた花びらは今は何処にあるのか。


" 来年も、再来年も 絶対ね "


魔法の様な声色に。
自分に色彩を取り戻した存在に。






ただ

声が聞きたいだけ。






今はただ。
その愛らしい声だけでも聞きたいと望む。





















20100409----》》》》
ん?なんだこれ

えっとー
桜ものですー
儚げになってしまった。
流石桜。

乙の中では花見+酒みたいなイメージですがね(笑)
←ヲイ


何となく閑が浮かんだものですから
少し儚い感じがあるのかもです
特に閑がいた木とか確認せぬままだったけど
イメージとして作ったから良いよな別に。
(超アバウト)


零たん もう少しの辛抱だから!
君のしやわせはすぐそこで待ってるんだから!!

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