零が家庭教師を引き受けてくれるようになってからは
学校から帰って夕御飯が出来るまでが勉強を教えて貰う時間となっていた。
今日は零が必要なテキストを探しに街に出ると言っていたので
優姫が帰ってくる時間には戻らないのだろうと思いながら帰宅すると玄関に零の靴を見つけた。
既に戻っているようだ。
リビングを覗き零の所在を確認するがソファに姿はない。
優姫は自分の部屋に鞄を置くと2階の零の部屋へと向かった。
部屋の前で控えめにノックをして声をかける。
『零くー、あ。』
優姫は急いで口を押さえた。
危うくまた「くん呼び」ペナルティでチョップされてしまう所だ。
『零ー』
改めて部屋の前で呼びかけてみたが返事はなく
再度ノックもしてみたが全く応答なしだった。
(あれ?)
優姫はそーっと部屋のドアを開け中を覗く。
椅子に零のジャケットが脱ぎ捨てられているのが見えた。
部屋の奥を見るとベッドの上で倒れ込む様に突っ伏して寝ている零の姿があった。
『お邪魔しまーす』
優姫は小声で言うとそろり中に入りベッドまで近付く。
俯せになって寝ている零の顔には銀の髪が掛かっていて顔が隠れてしまっていた。
優姫は髪をサラリ避け零の顔を覗かせる。
ベッドサイドに腰を落とすと零の顔近くに自分の顔を寄せてじーっと寝顔を見つめた。
(また皺が出来てる)
優姫は寝ている零の眉間を指でなぞった。
(また怖い夢でも見てるのかな)
優姫が零の頭を撫でてあげると零の寝顔は途端に柔らかくなった。
『怖くないよー
優姫がいるからね。』
優姫は耳元で小さく囁くと幾度となく撫で続けた。
ふと零の目がうっすらと開き 薄紫の光が優姫を映した。
『おはよー』
『・・・・・』
優姫は 撫でながらにこり微笑んだが零の瞳は焦点が合っていなかった。
『・・・寒い』
『え?』
ぽつり零すと優姫の身体はふわりと浮き 零の腕の中に吸い込まれた。
『・・あったかい。湯たんぽ』
『!!(ぇええ?!!!)』
いきなり零に抱き込まれてしまった優姫はあまりの事にジタバタと零の中で もがいてみたが
うるさい。
と機嫌を損ねたらしい零のくぐもった声と
動きを封じる様に更に強く抱き込まれた力に
全く身動きが取れなくなってしまった。
優姫の髪に零の顔が埋まり息が掛かる。
零の中で 優姫はカーッと身体が熱くなるのを感じた。
おとなしくなった湯たんぽに満足したのか零は再度まどろみに落ちる。
暫く縮こまっておとなしくしていた優姫の上に零の寝息が降り始めると自分を縛る力がふわりと解かれた。
優姫は少し身体を動かし零の顔を見上げ
間近にある綺麗な顔をジッと見つめる。
長い睫毛や整っている鼻筋、綺麗な口許、艶やかな肌。
零の全てに見とれてしまう。
そっと頬に触れてみた。
何だかビリリと胸の奥が震えた気がした。
密着している零の胸元から安らかな心音が 腕から身体から優姫に伝わり一緒に呼吸をしているようだった。
優姫は頭を零の胸にくっつけて ふわふわと沸き上がる思いを込めて ぎゅーっと零に抱き着いた。
『優姫ー 零くーん』
夕飯の時間を過ぎても姿を現さない二人の様子を見に来てみると
零の部屋のベッドの上で二人仲良く寄り添って眠りについていた。
『あらら・・いつの間にこんなに仲良しさんになったのかね』
幸せそうに寝ている優姫の寝顔に思わず笑みが零れ
零の柔らかな表情に安心する。
『ン~でもこれは流石にくっつき過ぎ・・・
でも可愛いから写真撮っちゃおう』
灰閻はカメラを探しに部屋に戻る。
この後いつまで経っても起きない二人を何枚も写真に納め、後に零に怒られる事になった灰閻がいたとか。
20091210
--------》》
零は寝ぼけていたので覚えてないと思われます
優姫は更に零の魅力に囚われるが良い。

PR