『さて。突然ですがクリスマスカードを作りたいと思います!』
黒主灰閻は、唐突にそう告げると子供達へ画用紙と色鉛筆を差し出した。
嫌そうに眉を寄せる零と、頬を紅潮させる優姫の反応は予想通りで。
両の手をパンと合わせると灰閻は言葉を続けた。
『サンタさんへカードを出すからね。
二人が望むものを好きな様に書いてごらん。』
『えっ!ホント?!お父さんサンタさんとお友達なの?!』
『・・・はっ、サンタって・・・
本気で言ってんのかよ・・』
驚いて身体を弾けさせた優姫は興奮の声を出し。
零はその横で小さく侮蔑的な溜息を吐いた。
『どうしよう!零!どうしようか!
なにかこう!』
そんな零の態度など気にも留めず、優姫は袖をクイクイと引っ張り、キラキラとした瞳で零を見る。
それを目にすると再度の溜息が吐き出された。
『零は何がほしい?
どんなおねがい事したい?
はい!これ持って!』
『・・・・・・・』
有無を言わさず零の前のダイニングテーブル上には画用紙がセッティングされ、手にはペンを握らされた。
眉間に一層色濃い溝が刻まれたが優姫には例の如く通じない。
無言のまま、前面に広がる真っ白な用紙へと零は目線を落とす。
『私、サンタさんかこうかな!かいたらよろこんでくれるよね?
楽しいカードがいいから絵をたくさんかいた方がいいかな!』
優姫は楽しそうに笑顔を向ける。
そのわくわくと沸き上がる気持ちが空気に乗り、隣の零にぐいぐい押し寄せられた。
『のぞむものって今ほしいものでいいのかなぁ。
うーん、まよっちゃうなぁ』
『・・・・・・』
『零はもうほしいもの決めた?』
手にしたペンがいつ動くのかと、
優姫の瞳が訴えかける重力の掛かった様な雰囲気に零は顔を歪めさせた。
(欲しい、もの?)
向けられた問いを反芻するように、零の脳内で言葉が駆け巡る。
欲しいもの・・・
ペンを握る手にギュっと力が込められた。
『決まったの?あ、色は他にもあるよ?』
優姫が零に色鉛筆のケースを寄せると、
瞬間、ガタリ。と音を起てて零が席から立ち上がった。
ポカンと口を開ける優姫を横目に、画用紙と差し出された鉛筆を2~3本掴み、
零は無言でリビングテーブルへと移動した。
『えっ、そっちでかくの?』
『お前いると気がちる。
うるさいし。』
テーブルへ移動した零はチラリ目線を配らせ、そう放つと画用紙に向かい始めた。
そんな零に優姫は頬を膨らませて口を尖らせる。
『ぷー、いいもん。
こっちで一人でかくんだから!』
話す相手が居なくなった優姫は、少し考え込んでから次第に静かにペンを走らせ始めた。
そんな様子をキッチンカウンターから静かに見守っていた灰閻は小さな笑みを零す。
何にしてもやる気を出してくれた零の様子に安堵した。あの子の行動は優姫が絡むと動へと転じるらしい。
灰閻はにやにやと笑いながら二人へのココアを作り始めた。
暫くして。ココアを乗せたトレイを手にしてリビングに戻ると
優姫のいるテーブルから、カリカリとペンを走らせる小気味よい音が聞こえてくる。
ダイニングテーブルにトレイを置くとチロリと優姫の作品を覗き見た。
紙面には真ん中にデカデカと苺のホールケーキが描かれており
その両隣には申し訳なさそうにちみっと丸いものが2つ。
黒髪と銀髪のダルマのようなものが。
(優姫と零くんだろうか)
灰閻は思わず微笑みを浮かべながらその様子を眺めていると。
ふと奇妙な音が耳に入ってきた。
"もきゅもきゅ"
リビングテーブルを陣取る零の方から、動作と似つかわしくない効果音、
つまり変な音が聞こえてきていた。
こちらから見える零の姿は後ろ姿しか見えないが
その小さな身体から放たれているオーラは普段の零とは思えない、いつになく静かにゆらゆら燃え盛るものが漂っている様に思えた。
しかし、どこからどう出ているのかこの気の抜けるような音---
"もきゅもきゅもきゅもきゅ"
『・・・・・・・・・・』
灰閻はなかった事のように顔を一旦優姫に戻すと一口ココアを口に含んだ。
喉を通る甘い液体が心地好い。
大きく息を吸い込むと一気に深く吐き出した。
(いやいやいや!!おかしいおかしいよ!
なに もきゅもきゅって!!
どっから出てるの!!)
バッと再び勢いよく零の方へ顔を向けると
先程と変わりない姿でテーブルに向かっている。
しかし今度は零の身体から放たれるオーラが、実体となって湯気の様に垂れ流れている様が目に映った。
ぷしゅるると変な音まで加わった。
(!?!?!?)
(き、緊急事態?!
零くんが何かに進化する!!!)
灰閻は思わず目をゴシゴシと擦り、パチパチと瞬きを繰り返した。
その時、おとなしく描いていた優姫が
「できたー!」
と大きな声を上げ、灰閻の意識は一瞬そちらへと向けられた。
晴々とした優姫の笑顔に心が癒されるようだ。
『零はー?できた?』
満足げに自分のカードの出来映えを眺めていた優姫から、リビングテーブルにいる零へ向けて声が掛けられた。
灰閻もハッとしてそれに合わせる形で再度顔を向ける。
視線の先にいる零は先程目にした湯気も、蜃気楼の様な空気も纏っておらず。
危惧した進化型の零もいなかった。
(当たり前である)
至って通常のいつも見せる不機嫌そうな表情で、
眉間のシワを寄せた零がこちらを見ているだけだ。
変な効果音ももう聞こえてこない。
灰閻は細かな瞬きを繰り返した。
『私もできたよ~』
優姫は楽しそうに自分の画用紙を手にすると零の元まで駆け寄った。
ソファにちょこんと腰掛けると零に自分の描いたカードを見せる。
ニコニコと笑顔を向けたまま零の反応を待った。
零は紙一面に鎮座している大きいケーキを見て顔を歪めさせる。
『あのね、すきなものかいたの!』
『・・お前、サンタかくって言っただろ。』
『えっとねー、かけなくなっちゃったの』
そう言うと、えへへ。と恥ずかしそうな表情を浮かべさせた。
思わず零から溜息がもれる。
『絵がデカすぎるんだよ。
字もかけねぇじゃねぇか。』
『うん。でも・・・
私と零はかけたよ?』
優姫はケーキ横のだるまっぽいものを指差すとにこりと微笑んだ。
優姫の指の動きをなぞり零の視線もそれを辿る。
『おっきいケーキいっしょに食べられるといいね!』
『・・・・・・・』
言葉に吸い込まれる様に、零の視線は優姫を捕らえた。
優姫がこぼす笑顔をその瞳に映すと、零は眉を寄せて、ふい。と視線を反らしてしまう。
『ねぇ、零のは?』
そっぽを向いてしまった零に対して、覗き込む様に零のカードに目をやる。
優姫はテーブルに伏せた状態で置いてあったカードを徐に表に返した。
『これ・・サンタさん?』
灰閻も静かにソファの側に寄ると、覗き込む様に伺った。
優姫の問いに零は無言でコクリ。と頷いてみせる。
優姫がサンタを描くと言ったから零くんも描いたのかな?
とほくそ笑みながら紙面を見遣る。
灰閻の眼前に飛び込んできたそれは、
オレンジ色のコロボックルの様な塊?
か、怪物??
あまりにも衝撃的な絵に、思わず吹き出しそうになる口元を急いで手で塞ぐ。
サンタ、これをサンタと呼んでいいのか。
いや、まぁ確かに暖色系の色だけど、全身オレンジ色でよくわからない。
なにせただの塊だ。
でも何となく髭の様な線は5本ある・・・
『ねぇねぇ、これはー?』
優姫が指したのはサンタの斜め上に漂っている浮遊物だった。
(わからない、これこそわからない)
サンタの様に色が着いていると言う事もない。見た目モノクロの浮遊物体。
アメーバの様な、捕え所のない形でくねくねしている。
いや、もしかしたら触角の様なものが生えているのかもしれない。
・・・生き物なのか?
灰閻はその答えを渇望する様に零の回答を待った。
零は優姫を見ると目線を画用紙に向けて静かに口を開く。
『龍。』
(ぶほッ!)
聞いた瞬間、灰閻は両の手で力強く口を塞いだ。全身が笑いを堪えるのに小刻みに震える。
『え!リュウ?すごーい!』
優姫は何故か瞳をキラキラさせて零を見た。
ある意味優姫の感性も素晴らしい。
灰閻は酸欠状態で涙目になりながら空気を取り込む様に呼吸を繰り返した。
『零はリュウがほしいの?』
『来年の干支は辰だろ。
オレは、しずかにすごしたい』
(ぶほ!!!干支?!
まさかの今年来年でサンタと龍のコラボ?!橋渡し的な?!)
『すごいねぇ!
リュウなんてよく知ってるね!
零すごーい!!』
優姫はひたすら感嘆の声を上げている。
どうやら龍自体をわかっていないらしいが。
灰閻はあまりのおかしさに床に突っ伏してしまった。頬を流れる涙を拭う。
どうしよう。
子供を傷付けないコメントの仕方はどうすればいいのか、誰か教えてほしい。
しかし、クリスマスカードを書こうと言うのに、まさか来年の干支を組み込むとは。
零の絵心の無さっぷりにも驚いたけれど。
静かに過ごしたい、と言う願いは何処に表れているのだろう。
灰閻は身体を起こし、変わらずソファに仲良く肩を並べて座っている二人を見遣った。
『来年もいっしょにケーキ食べようね!零。』
『オレは甘いのはすきじゃない』
『えっ。
・・・じゃあ、あまくないケーキだったらいっしょに食べてくれる?』
優姫の声が一瞬シュン。と落ち込んだが
諦めずに直ぐさま食らいついた。
そんな優姫に眉を潜めつつも、零の頬には微かに朱が浮かんでいた。
『それなら・・・考えてやっても、いい』
『ホント?!やった!』
『じゃあ、お前もしずかにすごせよ?』
『うん!しずかにする!』
何だかよくわからないクリスマスになりそうだけど・・・
(ま、
幸せそうなら いいかぁ)
などと
灰閻は思ってしまったのだった。
HAPPY BIRTHDAY&HAPPY MerryX'mas!!
-----》》20111210
零たん ハピバー!!!!
☆-ヽ(*´∀`)八(´∀`*)ノ
いや、自分勝手設定ですけども(笑)
ホントは
『
生まれてきてくれてありがとう、零』
的なそんな定番的なやつかなハピバは。
とか思っていたんだけど
さっぱり萌えが降臨せぬまま・・
で す が!
公式で絵が下手な黒い人の話をやられてしまい、どうにもこうにも荒ぶる乙梨さん。
何故なら『
零の絵が下手すぎる』
このスキルが萌えワードとして乙のネタ帳にはあったからだぁあああ!!!
。゜ヽ(゜`Д´゜)ノ゜。ウワァァァン!!
し、しどい樋野さん・・
・°・(ノД`)
やるなら・・・やるなら零でやって欲しかったよ・・・
そりゃ枢は料理もだめだし
手作業的なものは壊滅的にだめだと思う
その点零たんはなんでも熟してしまうオールマイティな素晴らしい人だ そらそうだ
しかし!!
そんな零たんが
絵だけは下手!下手くそ!下手過ぎる!!
いや!もう絵でさえない!!そんなところが萌えるんじゃないか!!!
(いつになく久しぶりに荒ぶっているだろう?)
いや でもあの絵はね
上手い人が下手に見せようとして描いた絵
ってのが抜け切らない、 言うとまだ絵として成り立っているものだと思うわけ。
そこがまだ救い的かな?
っつ長々しく書きましたがこれ一応零たんハピバ!
しやわせ持ち越し誕生日→クリスマス→そして静かにしやわせな年越しへと!
延々しやわせな零たんであれ!
(干支は確か来年辰だったよね?だけで選びました)
零パラダイス!!!

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